弁護士 猪野亨のブログ |

このブログは12月17日に閉鎖となります。 移転先 http://inotoru.blog.fc2.com/

弁護士費用保険に希望はない、幻想を抱くのは止めよう

2013.06.06 Thu

16:34:58

 日弁連の一部の勢力は、今なお弁護士人口激増路線を突っ走っています。
 その言い訳の1つが民事司法基盤ができていないからだというものです。弁護士費用の立替などのための法律扶助の予算が拡充されていない、弁護士費用保険が整備されていないからだ、という主張です。
 第62回定期総会「民事司法改革と司法基盤整備の推進に関する決議」(2011年5月27日)
中本和洋弁護士、一体、何しに札幌に来たの?」

 そのようなことをしたって、弁護士需要が増えるはずもありません。
 日本司法支援センターの法律扶助の利用も伸び悩みです。相談料「無料」ということによって需要喚起は一定あったものの、それは結局、「無料」どまりであって、2012年度の裁判所の新受件数自体が減少していることをみても、もう需要があるとは思えません。

裁判所の新受件数

2012年度2011年度
民事・行政総数1,707,5591,985,305
民事事件総数1,697,7621,976,282
最高裁7,1486,596
高裁39,85838,592
地裁663,955739,210
簡裁986,8011,191,884
民事の中の一部破産92,552110,449
小規模個人再生9,09613,108
給与取得者再生9251,154
刑事事件総数1,097,1681,104,130
家事事件総数857,237815,529
家事審判672,690636,767
家事調停141,802137,380
訴訟11,70111,647
少年事件総数134,185153,128

 家事事件を除いて急激に減少しています。

 では、このような状況の下で、弁護士保険が有効なのでしょうか。よく弁護士費用がよくわからない、高いのではないか、いくら請求されるかわからないなどと言われることがあります。
 だから弁護士保険かと言われると全く違うと思いますが、現在、自動車の任意保険に付属しているものがあります。
 しかし、これは非常に大きな問題があります。
 小さな物損事故に莫大なコストを掛けるということでもあります。
弁護士費用特約ってどうよ。」
 このようなものが日本経済のお荷物であることは間違いありません。利用者のコスト意識の薄さも問題でしょう。
 それ以上に問題とされているのが、弁護士自身による弁護士費用過大請求。
弁護士保険で高額報酬 請求トラブル相次ぐ」(中國新聞2013年6月1日)
交通事故などに遭った際、法律相談や訴訟の弁護士費用を保険会社が負担する「弁護士保険」で、受任した弁護士が高額な報酬を算出して保険会社に支払いを求めてトラブルになる例が少なくとも9件あることが1日、複数の損害保険会社などへの取材で分かった。」
 依頼者が負担するわけではないということから、過大な請求をしているということですが、やはり品位を欠くことになります。
 そのためか、「保険の販売中止を検討している損保もある。」(上記記事)ということは、この保険の先が大きくないことを示していると思います。
 上限を決める、費用を定額にするという方法もあるのかもしれませんが、そのような方法ではなく、販売中止の検討であれば活路はないということなのでしょう。

 それとは別に、弁護士費用保険が日本で初販売だそうです。
日本初…弁護士費用保険が発売、法律相談料も保障」(産経2013年6月4日)
 月額2,980円だそうですが、利用する人ってどの程度、いるのでしょう。
 法律相談も相場は30分5000円ですが、無料とうたっているところも多々ありますから、相談だけなら弁護士費用保険の必要性は全くないでしょう。
 また、この保険は自己負担分もあるようですから、結局、何がメリットなのかよくわかりません。少なくとも、一定の経済的基準はありますが、日本司法支援センターがあるので、弁護士費用に困る場面は全く想定しづらいと言えます。
 この保険会社は、弁護士費用保険に特化しているようで(保険会社の100%子会社)、この保険会社がどうなろうとどうでもよいのですが(だから子会社で扱っているのでしょう。)、いくら飢えても、これに弁護士需要の特需を期待するような愚かな幻想は抱きたくないものです。


ブログランキングに登録しています。
投票をお願いいたします。

にほんブログ村 政治ブログへ

オススメ情報