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自民党憲法改正草案の恐ろしさ 国歌、国旗への忠誠

2012.12.15 Sat

01:46:33

 自民党の憲法改正草案は、非常に問題を含むものです。
 天賦人権思想をも否定していますが(改めて自民党の憲法改正草案をみてみる)、中でも、
第3条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
   2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない
。」
は、ひどいですね。
 天皇制を賛美する「君が代」の尊重を義務づけるなんどというのは、国民主権の否定でしかありません。
 自民党憲法改正草案では、天皇は元首として位置づけられていますが、こうなると、もう発想は日本国憲法とは全く逆。
  国民主権 > 天皇制
だったものが、
  国民 < 天皇
の関係にしてしまうんですから、メチャクチャ。それが「君が代」の尊重を義務づけるんだから、まさに
「恐れ多くも天皇陛下に対し奉り、」という世界。
 そのようなことは、天皇自身が求めていないでしょうに。
「「女性宮家」の検討の行き着く先

 そして、天賦人権思想を否定すると憲法19条がどのようになるのか。
日本国憲法19条は、
思想及び良心の自由は、これは侵してはならない。」
とあるのを、自民党憲法改正草案では、
思想及び良心の自由は、保障する。」
となってしまっていますが、これでは従来の思想良心の自由より後退してしまっているのは明らか。
 それは当然です。国民に国旗(日の丸)・国歌(君が代)を尊重する義務を課しているのに(尊重しない自由は認めない!)、思想良心の自由を侵してはらない自由として保障するわけにはいかなくなります。

 自民党憲法改正草案は、すべてにおいて全体主義の思想が色濃く出ていますが、本当にこのようなことが望まれているのでしょうか。
 これでは、戦前の軍国主義と同じですよ。

こんな歌が聞こえてきます。

「遠く海超え 来た人は 村里に 街角に 靡く日の丸 頼もしく じっと眺めて 涙ぐむ〜」(南から南から)

なんていう歌もあれば、

「母の背中にちさい手で 振ったあの日の日の丸の 遠いほのかな思い出が〜」(日の丸行進曲)

という歌、さらには

「土も草木も火と燃える 果てなき曠野(こうや) 踏み分けて 進む 日の丸 鉄兜〜」(露営のうた)

「父祖の血汐に色映ゆる 国の誉の日の丸を 世紀の空に燦然(さんぜん)と 揚げて築けや新亜細亜」(出征兵士を送る歌)


 日の丸は常に戦争の中で、対外侵略のシンボルとして使われていたのですね。
 君が代は、天皇制を賛美する歌、大元帥、現人神としての天皇を賛美し、それを国民に強制するための歌。
 そして、その天皇の名において、戦争を遂行し、死に追いやった歴史でもあります。

 「思えば今日の戦いに 朱(あけ)に染まって にっこりと 笑って死んだ戦友が 天皇陛下万歳と 残した声が忘らりょか」(前掲露営のうた)

 「勝ちぬく僕等少国民 天皇陛下の御為に死ねと教えた父母の赤い血潮を受けついで 心に決死の白襷かけて勇んで突撃だ」(勝ちぬく僕等少国民)

 国民を教育勅語により、思想教育を行い、国家(天皇)の臣民として育成してきました。
 軍人勅諭は、極めて露骨で
「一(ひとつ)軍人は忠節を尽すを本分とすべし。
(略)
抑(そもそも)国家を保護し国権を維持(ゆいじ)するは兵力に在(あ)れば、兵力の消長は是(これ)国運の盛衰なることを弁(わきま)へ、世論(せいろん)に惑わず政治に拘らず、只々一途(いちず)に己(おのれ)が本分の忠節を守り、義は山獄よりも重く、死は鴻毛(こうもう)よりも軽しと覚悟せよ。
 其操(そのみさお)を破りて不覚を取り、汚名を受くるなかれ。」

 天皇への忠節は山獄より重く、軍人(人民)の命は鴻毛よりも軽いという教育です。

 この点は石原慎太郎氏の思想とも近いです。
俺は、君のためにこそ死ににいく」なんていう映画は、天皇制賛美そのもの、「君」(天皇)のために死ね、ということですから。

 戦後は、このような反省に立ち、日本国憲法では、思想・良心を侵すことのできない自由として保障されることになったのです。
 国家が一定の思想を強制する、これを憲法は禁止しているのです。
 国民の側からみれば、思想良心の自由として拒否することができるという意味です。
 その趣旨からすれば、国家が教育現場で、君が代を斉唱せよ、と児童、生徒に教え込むなどというのは憲法を踏みにじる行為ですが(国家による強制の禁止)、少なくとも児童、生徒が従う義務は全くないし、教員も同じく、このような義務はありません(国民の側からの拒否)。

 しかし、自民党憲法改正草案は、このような国民の拒否する自由を否定し、戦前のような天皇制国家を再建しようとしているのです。
 とんでもない企みです。

 そして、「日の丸・君が代に反対するのは、日教組だ。」なんてお決まりのことを言ってしまうと、もう日の丸・君が代を押しつけるためだけのイデオロギーを植え付ける目的であることが、はっきりしてしまうんです。
 自民党の公約にも、「教員の政治的中立を徹底するなど、適正な教育内容を確保し、教職員組合の適正化を図ります。」
 などと日教組憎しになっていて、
しかも、
いまだに自虐史観や偏向した記述の教科書が多くあります。子供たちが日本の伝統文化に誇りを持てる内容の教科書で学べるよう、教科書検定基準を抜本的に改善し、あわせて近隣諸国条項も見直します。」

 と述べるに至っては、まさに教育勅語の復活でしょう。そのために邪魔な日教組を潰してしまえということであって、これでは戦前の物言えない時代と全く同じ。
 それに忠実に思考停止しまった人たちが自民党候補者、その典型がヤンキー先生こと義家弘介氏。
ヤンキー先生こと義家弘介氏に求めている文科相像は?」
 日の丸・君が代というのは、このような思考停止し、忠実に上役の言うことだけを聞く人を育てる、そう、日の丸・君が代に疑問を持つこと自体を許さない、疑問を持たないで受け入れるような人作りです。
 橋下氏(維新の会)が、大阪でやってきたことも、天皇の権威を利用して、自らの命令に従わせるということでした。
橋下大阪府知事、君が代と起立

 自民党による憲法改悪は、暗黒時代の幕開けです。

 ついでだから、コメントで寄せられるものについての疑問にも答えておきましょう。
 学校での儀式で、日の丸・君が代を拒否したら、生徒はどうなるんだ! なんていう意見が言われることがありますが、このような意見は誤りです。
 時折、生徒をダシにして、日の丸・君が代を正当化しようという意見が見られますが、全く筋違いも甚だしいと言わざるを得ません。
 あるいは公務員だから従って当然という意見もセンスがありません。
 公務員は、今や天皇の家臣ではないですから。


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コメント

5013

教職員の国家不斉唱、国旗掲揚不起立問題、先生はどのように対応すべきとおかんがえですか?

5014

「思想及び良心の自由は、これは侵してはならない。」
約すと、(国民に対して、国家も含め何人も)思想及び良心の自由を侵してはならない

「思想及び良心の自由は、保障する。」
約すと、(国民は、国民に対して)思想及び良心の自由を保障する


(国家以外の存在は分かり難いので省きますが)
主な違いは、国家に対し、「国民に自由を侵害してはならない」と書かれていたものが

国家が国民に自由を与えてやる立場になっている

これは似たように見えるけれど発想が逆になっている
自由は国家から与えられ物というのは、与えている側がいるのだから、与えている相手が場合によって剥奪する事が出来る

でも国家に対する制限という形式では絶対に侵す事が出来ないと明記されているので仮に国家にとって不都合であっても守られなければいけない事になります
そこが決定的に違います

5016

 教員の不起立の問題は、そもそも教育現場に君が代を持ち込むこと自体が間違いです。
 国家による思想統制そのものです。
 一種の洗脳教育ですからね。

5028

なぜ君が代日の丸だけ特別扱いにするのかわからないです。

尊重派の理屈からすれば、都道府県や市町村の旗や唄、校歌や校旗も同じ扱いにしなければおかしいはずです。

そういうしょうもない義務付けをしなきゃいけない時点で、どうかと思う。

5060

12/17(月) 18:31:56の匿名さんに同感です。同様に感じている人達も多くいると思います。だからこそ卒業式で暴れてるごく一部の教師に、世間は冷ややかなのでしょう。

仮に、「自分の頭の中では日の丸にもの凄い悪い意味を見出している。だからたとえ年に一回でも強制されたら、違憲である。」という立場に立脚するのであれば、
当然、「校歌その他諸々に対し悪い意味を感じてる人がいるかもしれない以上、それら年に一回以上強制することも、違憲である」との主張にならなければ、おかしいです。
ところが暴れてる一部教師や猪野先生は、後段のような主張は全くしません。

彼らの頭の中では、君が代に悪い意味を見出してる自分の発想が、絶対的に正しいものとなっているのでしょう。
自身の思想が、校歌その他諸々に勝手に悪い意味を見出してるのと、まったく同列・同価値であることに、気付かない。
同列同価値であることが、憲法の思想良心の自由の、大前提なのに。

5061

 君が代と校歌、県歌(といっても知っている人は誰もいないのかもしれませんが。そもそもあるのかどうかもわからない。)とは、全く意味が違います。

 思想性の有無は顕著でしょう。
 憲法訴訟でも、君が代が問題になっても、校歌が問題になることはありません。あの最高裁判決でも、君が代の思想性については論じられていますので、改めて確認されたらよいかと思います。

5062 各論を追求しすぎると迷走する

国防軍や徴兵制、君が代問題なども根っこは一緒なんですよね。

中国の台頭、これに尽きるんですよ。

↑に応じて、国民の意識が右傾化し、上記の問題が是となっていくんでしょうね。

5064

 私も、そのご指摘には共感はします。

 中国の台頭の前に、実は、既に国力が低下した日本という現実を認めることができず(マネー経済のために、かつての勤勉さを失った。)、過去の大国意識だけが強いと、そうなるのかなと思います。

 ただ、国民全体が右傾化しているかと言われれば、そうでもなく、「無関心」が増えているんじゃないでしょうか。

5075

猪野先生へ
私も上記匿名さんも、一言も「君が代に思想性は全くない」などとは言ってないのですが。
なお、思想性をなにのどこにどれだけ強く感じるかも、当然、各人によりけりです。
何度も言いますが、「自分の思想性だけは絶対だが、違うイデオロギー方向での思想性なんぞは、要保護性はない」という姿勢は、憲法の趣旨とも整合しません。またそれに共感できるのは同一思想性の人だけでしょう。
そして、誰かが社会を右傾化したい際には、上記姿勢の一部教師達が卒業式で政治アピールやってくれればくれるほど、格好の標的ができ、都合がいいでしょうね。

5093

えもさん

 思想性の有無は、当人の単なる好き嫌いという主観で決まるものではなく、基本的には客観的事情から決まります。
 その点、誤解がありませんか。

 そして、ここで問題にされているのは、他の思想をその人に強制するということで、「違うイデオロギー方向での思想性なんぞは、要保護性はない」という議論ではないですよ。

>誰かが社会を右傾化したい際には、上記姿勢の一部教師達が卒業式で政治
>アピールやってくれればくれるほど、格好の標的ができ、都合がいいで
>しょうね。

 だから最高裁があり、人権保障のために必要なんですよ。
 もちろん、私は現状の最高裁の姿勢は不十分と思いますが、それでも戒告止まりにしていますからね。
 しかも、不当に重い停職処分にたいしては、審理をやりおなした東京高裁は慰謝料30万円を認定、これは君が代だからですよ。

5101

>中国の台頭の前に、実は、既に国力が低下した日本という現実を認めることができず(マネー経済のために、かつての勤勉さを失った。)、過去の大国意識だけが強いと、そうなるのかなと思います。

大国意識といっても経済大国意識でしょう。ゆえに、いまだに社会保障の拡充を叫んでいるお方もいる。先進国なんだからといって。もはや発展途上国並みの保証しかえられない、というか社会保障自体維持できないといわざるを得ないでしょう。無論今すぐではないですが。ようするに総貧民化ですね。
いずれIMFの支配下に入って、社会保障切捨てでしょう。

5508

天皇制賛美の「君が代」?
対外侵略のシンボルの「日の丸」?
軍国主義者?

いつの時代の話ですか?
もともと君が代は誕生日の和歌ですし
日の丸は江戸時代の時、薩摩藩が制定したんですよ?
インドやインドネシア等での独立記念日に自国の国旗と共に日本の国旗である日の丸は掲げられているんですけど・・・
おまけにインド、台湾、インドネシア等の教科書で大戦の時の日本のことをきちんと感謝の言葉を書いているのですが・・・
インドではまだ日本の歌を歌われていますし・・・

軍国主義?スイスもそうなるんですかね?

5510

 いつの時代の話?

 歴史を勉強してください。
 明治以降の日本がどのような対外政策を推し進めたのかを。

5513

勉強しましたよ


話そらしていませんか?日本が世界水準の普通の国になろうとしているのに戦前の軍国主義?
意味が分かりません
時代は変わっているんですよ?

海外の人達も普通に自国の国旗を掲げて、国歌を歌っているのですが、これは独裁体制なんですかね?

5514

 意味がわからないのは勉強が足りないからでしょうね。

 誰もが、戦前、戦中に日の丸・君が代が歴史的にどのように扱われたのかということは大前提なんですよ。

5519

 ただの高校生さん

 あなたの論調は、単に荒らしだけを目的に言い掛かりをつけてくるだけのもの、しかも自分の頭の中だけで前提を作り上げて。
 ですから、非承認とすることにしました。

 名称といい、従来、荒らし目的できていた「高校生」さんに似ていますね。

5669

>だから最高裁があり、人権保障のために必要なんですよ。

「最高裁の判決なんて意味が無い」発言お忘れですか?
魚拓取られてますよ。

5671

千葉県民さん

 文脈を全く無視して、部分だけを取り出して批評する、やり方が下品ですね。

 そういう意図的な悪意を持った人は別にして(単に意味がわからなかっただけかな?)、これを読んだ第三者が誤解をしないようにコメントをしておくと、以下の通りです。

 人権保障の観点から、最高裁の判決の到達点がどこまでなのか、という問題。それがすべてはではないという意味では、それを金科玉条のごとく振りかざして、「最高裁判決はこうだ!」という指摘は意味がない。

 例えば、猿払判決(公務員の政治活動を処罰した事件)では、一律禁止という手法でしたが、しかし、昨今の判決ではその枠組みを実質取っ払い、一部で無罪判決を出した。
 これは判決の到達点という意味では前進であり、そこに最高裁に人権保障の意義を認めることができるし、我々はさらに前進した判決を獲得する必要があります。

 他方で、この判決を盾にとって、ここまで政治活動は可で、ここまでは不可であり、この政治活動は不可だという言い方は、全くもって誤り。
 上記のとおり、最高裁判決は前進させることが可能であり、人権保障の観点からさらに変えていかなければならない、それを固定的にとらえる論法は、意味がないし、むしろ誤りなのです。

5673

なんだ、人権と君が代とではあなたの扱いは違うんだ。
最高裁判決は金科玉条ではなく、あなたの法理論といえない単なる個人的意見こそが尊重されなければならないんだ。
ところ政治の話題の欄を読ませていただいてますが、いつも議員と行政批判で止まっていますが、なぜか有権者まで行かないのでしょうか。またなぜあなたの理想とする方向に向かわずに反対の方向に向かうのでしょうか。

5675

千葉県民さん

 人権と君が代が違う?
 どこをどのように読めばそのようになるのですか。
 説明してください。説明できないでしょうけれど。

 説明もできないような誹謗・中傷レベルのことはおやめください。

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