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東京五輪招致、大震災復興に関連づけることに不快感

2013.09.09 Mon

10:01:21

 2020年のオリンピック開催地が東京と決まりました。
 私自身は、東京招致には反対でしたので、この結果自体は極めて残念です。
 招致のためにカネを使い、また招致が決まれば決まったで、その開催のために莫大なカネがかかる、今の日本でどれだけの負担になると思っているのか、そのようなカネがあるなら震災復興のためにカネを回したらどうだ、としか思えないからです。
 それから私があまり共感が持てないのが、招致が決まったときの高揚感。「日本全国が祝福」みたいに、誰もが当然に祝福しないとおかしいという雰囲気には辟易させられます。
 国威発揚に使われてきたオリンピックですから、胡散臭さも感じます。
 直近では、北京オリンピックなどその最たる例でしょう。

 安倍首相のプレゼンも最悪ですし、これは誰もが感じたことでしょう。
 よくもまあ、汚染水を垂れ流しにしたまま、コントロールできているから東京は大丈夫などと言えたものです。
 オリンピック招致を喜んだ人たちにとっても、あれだけは一瞬、苦笑いしたのではないでしょうか。
 原発の事故処理を東電に丸投げし、その結果、大量の汚染水が海に流れ出していたという事態に既に有効な対策も取れないまま、日々、汚染水が垂れ流し状態ですが、このような状態で東京オリンピックだなどと浮かれている状況が私には理解し難いものです。

 しかも東京招致にこの大震災の復興と関連づけるなど不快そのものです。
 東京都のプレゼンテーションは、「復興五輪」だそうです。典型的なお涙頂戴式のものです。
 実際に東北地方復興のために尽力しているのであれば別ですが、全くもってサボタージュしている中で、「復興」などと言わないでもらいたいものです。
 
東京を勝たせたのは「復興への祈り」だった」(門田隆将氏のブログ)
 この主張などは、「復興五輪」を賛美する典型です。

 どうして、東京オリンピック招致が復興なのか飛躍があるばかりでなく、そこにあるのは精神論ばかりです。
 これまで東日本大震災ではほとんど効果的な復興などなされていません。神戸のような復興のさせ方とはほど遠いものです。
 福島の惨状は放射能汚染ですから、もはや如何ともし難く当該地域は死の町です。
鉢呂経産相 「死の町」発言に思う
 除洗作業も進んでいません。作業員に対するピンハネの報道ばかりが目につきます。また作業員自身の被爆の問題も深刻です。
 それ以外の地域でも復興予算が流用されてしまっていたり、あるいはNPO法人大雪りばぁねっと事件のように雇用創設事業資金が使途不明になったり。
 不通になっていた岩泉線についてはJR東日本は9月5日に廃止を表明したのが象徴的です。従前以上の「復興」はないという意味でもあります。
 仙台の港は大がかりな工事をするそうですが(多くの利権が絡むようですが、予算を出さないよりは、ましというべきか。しかし、本当に流用、ピンハネがないのだろうか。)、結局、都市部のみの「復興」にしか見えません。

 この背景には、復興予算を割くことの財界からの抵抗がありました。民主党菅政権以降、政府が復興に本気でなかったのは財界の意向があったからに他なりません。
 しかし、このようなことに対しては、東北のみならず全国からの批判にさらされるわけですからある程度の予算を計上しなければならなくなったのです。
 ところが実際の予算の使途といえば前述したように最悪の状況なのです。
 原発事故の処理ですから東電丸投げなのですから、その他の姿勢について推して知るべきということなのです。

 それにもかかわらず、オリンピック招致を復興に結びつけるのは、いかにも「美談」に仕立て上げようとするだけの姑息な筋書きといえ、鳥肌が立ちます。
 もともと、現在の自民党政権も東北地方の復興などは眼中にはなく、国家をあげての復興など考えてはいないのですから、オリンピック招致が決まった今、今後は、オリンピック開催に向けてカネを使っていくことになり、東北復興などますます遠ざかっていくことでしょう。東京オリンピック招致と東北地方の復興を関連づけること自体に無理があるのです。
 そればかりでなく、国民の間でも東京オリンピックに向けて高揚感に酔い痴れたとき、東日本大震災の復興など瞬く間に観念の世界に追いやられてしまうことでしょう。
 高揚感とは所詮はそのようなものです。
 消費税大増税はもはや既定路線、これに対しても反対論が小さくなっていくことでしょう。

 そして、右翼系政治勢力が大好きなナショナリズムを高揚させること。その次元でいえば中国と全く一緒です。
 精神論ばかりが強調されていくことでしょう。
 ましてや今から7年後の日本がどうなっているのか、右翼系政治勢力を中心とした憲法改憲勢力は、ここぞとばかりオリンピックを政治利用すること間違いなしです。
 今の日本は戦前回帰という極めてきな臭い状況です。
自民党憲法改正草案の恐ろしさ 国歌、国旗への忠誠

 日の丸・君が代の強制のためには、日本中がオリンピックで日本選手の金メダルで酔い痴れていることが非常に重要になってきます。
 日の丸・君が代の強制に反対する人たちを高揚感の中で押しつぶせということにつなげることが容易になるからです。
 憲法改悪もそのような中で政治日程に上がってくることでしょう。

 東京オリンピックが決まりましたが、この胡散臭い東京オリンピックに対しては、今後も発言を続けていかなければなりません。


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