弁護士 猪野亨のブログ |

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東電の免責について

2011.04.12 Tue

17:05:27

 以前のブログ(東電に対する怒りが倍増)ですが、東電に対する免責についての質問(コメント)がありました。
 ので、私なりに考えてみました。

 原子力損害の賠償に関する法律3条2項
 「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは」無過失責任は負わないと規定されています。
 今回の大震災では、さかんに「想定外」という言葉が東電側から流されていますが、それはあくまで東電側が想定していた範囲を超えたということでしかありません。
 今回の大震災では、どうみても、安全対策が二の次になり、コスト優先という状況がはっきりしているのですから、不可抗力とは言えません。
 コメント(質問)の中では、「指定非難場所に非難した人でさえ流されたような想定外の津波」という指摘もありましたが、それと原発の安全対策と同じではありません。
 今回の原発事故は、東電側の判断(海水を入れる時期など)も入っているのですから、どう考えても不可抗力とはいえません。
 また、安全対策でいえば、冷却のための電源についてもお粗末であるし、それがダウンした場合の対策も皆無というのでは、お話にならないということです。
 不可抗力とは、概念的には、これらの対策をすべて行っていたとしても、なお事故が起きた場合をいいますが(なので、仮定の話にはなります。)、少なくとも、仮に不可抗力という主張は、この規模の地震及び津波が来たなら、原発事故は防げない、ということを意味するということでもあります。本当にそうならば、すべての原発を直ちに廃止する方向で処理されなければならなりません。そうでない、防げるんだということであれば、不可抗力とは言えないわけです。
(ちなみに私の意見は、安全面に人の判断が入る以上、絶対の安全はなく、原発は廃止せよというものです。)
 指定避難所の問題は、そこにいけば絶対に大丈夫というものでもなく、また原発がそれと同程度でよい、ということにもなりません。ひとたび事故が起きた場合の被害の甚大さからすれば、今回の津波を想定していなかった、ということ自体が許されないというべきです。

 それから、法的責任のみならず、政治的責任の追求も重要です。こちらが免責されるようなことは絶対にあってはなりません。
 今回の事故は、決して不可抗力ではないのですから、何故、このような事態に陥ったのか、国会でも徹底的に追求されなければなりません。
 もっとも、ここが一番、問題です。政府・財界ともに原発を推進してきました。自民党はもとより、民主党も同様と言えます。
 マスコミもこの点の追求になると何故か弱腰、当然ながら、御用学者の発言も歯切れが悪い。財界もソフトバンク孫社長以外は、なおも原発を推進しようという姿勢を崩さない。
 金の問題よりも、この政治的責任こそが一番、追求されなければなりません。
 東電及びその役員だけでは責任を負いきれる額ではありませんから、税金(増税)の投入は避けられないでしょうが、その責任を曖昧にしたまま、税金だけが注ぎ込まれることだけは絶対に許されません。
 それは、原発を推進してきた財界こそ応分の負担をすべきだからです。
 財界のように目先の利益を優先(安い商品を作って販売する。エネルギーの安定供給の思惑など。)するあまり、リスクに対するコストを無視し、今回の事件が起きながらも、なおも原発に依存して経済活動を行おうとする、その意味では、東電と財界は一体であり、同罪ともいうべき存在です。

 これまでのコメントの中では、原発か電気のない暮らしか、だから原発なんだ、という短絡的な意見も見られましたが、今後も、大量生産、大量消費のような経済構造を大前提にする限り、このようなドグマからは抜け出せないでしょう。
 限りある資源であるならば、それを財界の単なる金儲けの手段に使わせてはなりません。
 例えば、自動車が売れる売れないなどということで景気の善し悪しが語られていますが、しかし、少なくとも日本において、過剰になった自動車がこれまで通り、売れるわけもない中で、なおそれを生産して売るんだという発想で、過剰なものをさらに生産するという方向に行くのは、壮大な無駄です。
 確かに便利さには慣れてしまった感はありますが、だからといってさらなる生産が必要なのか、経済の大転換こそが求められていると言えます。


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